大阪大学歯技会 第10回学術大会 参加レポート <第2回>

大阪大学歯技会 第10回学術大会 参加レポート <第2回>

大阪大学歯技会 第10回学術大会 午前の部
ミニシンポジウム「代表的な就業形態と、技工へのアプローチについて」

<PART 2>
今回は、前回の投稿に引き続き、午前の部第2弾として、「ラボ勤務」と「メーカー勤務」をされている歯科技工士の発表の様子をお伝えします。

まずは「ラボ勤務」の立場から、株式会社デンタルプラッツに勤務されている上田明日香さんと山口靜穂さんです。
お二人が現在お勤めのラボは、クラウン・ブリッジ部門とデンチャー部門とに大きく分かれており、基本的に流れ作業なので、仕事では各自製作工程の一部を担当されているそうです。
デンチャー部門に所属されている上田さんは、流れ作業で行う技工は、コミュニケーションが大切だと仰っていました。次の工程の担当者に指示書内容を伝達することが、トラブルを防ぐためには欠かせません。また、自分の担当する工程で不具合が起きた時には、前工程の担当者に伝えて原因を発見し、改善策を考えることで、良いデンチャーを作ることに繋がるということもお話されていて、最初から完成まで一人で担う歯科技工士とは異なり、同じ職場で働く他の歯科技工士の人との情報共有が何より大事なんだなと思いました。

スライド写真 上田さんの先輩でもある山口さんは、技工士学校卒業後、歯科医院で3年間勤務された後、現在のラボに勤めて10年目になるそうです。
彼女はCAD/CAM部の部長として、主に部の仕事の最終チェックを担っていますが、その他にも、歯科スタッフとの連絡や相談、歯科医院への補綴物の集配、クラウンワークの全ての模型作り、そして接客という、多岐に渡る仕事に携わっておられます。
一人でこんなにたくさんの仕事をされているということに驚きました。
もともと、山口さんはワックスアップがあまり得意でなかったようで、それでも歯科技工士として生き残るため、社内の仕事の中で、技工ができなくても歯科技工士にしかできない仕事を調べ、接客や歯科スタッフとの連絡など、他の従業員が苦手とする仕事を率先して全てやってきたそうです。
そうすることで社内から信頼を得ることができたという山口さんは、「権利を主張したければ、義務を果たさなければならない」と強く仰っていました。
「自分がやりたいと思うことをする前に、自分がすべきことをできているか。できていないと権利を主張できないし、周りも認めてくれない。」という言葉は、卒後間もない私の心に突き刺さりました。

 そして、「メーカー勤務」の立場から、株式会社ニッシン 北尾彰久さんと、株式会社松風プロダクツ京都 中島有香さんが登壇されました。
北尾さんは、歯科技工士学校で教員として30年間携わってこられた経験を活かし、現在メーカーに勤務されてから、社内教育に取り組んでおられるそうです。
歯科模型を製造されている企業ということもあり、歯科教育に力を入れていることが北尾さんのお話からわかりました。
その中で、やはり教員の経験をされてきたことが、今の北尾さんのお仕事に繋がっており、
補綴物を製作すること以外にも、歯科技工士として蓄えた知識や経験次第で、歯科技工士の働き方もいろいろと広がるのだということを感じました。

次の発表者である中島さんは、以前はラボ勤務をされていたそうですが、勤務時間や福利厚生などを考えた結果、今の職場に勤務することを選択されたそうです。
結婚や出産などは、働く女性にとって大きな問題になります。「結婚や出産を経験しても、仕事を続けたい」と考える女性にとって、理解ある職場であれば、安心して仕事をすることができるでしょう。
中島さんは現在の勤務先で、職場のサポートを受け、私生活も仕事も両立されているそうです。
歯科技工士として長く仕事を続けたいと考える女性にとって、働き方の一つのモデルを提示していただいた発表でした。

この日お話された方々は、歯科技工の仕事に携わっているということは同じですが、働く場所によってそれぞれの役割や取り巻く環境が大きく異なっていました。

今回のシンポジウムを通して、現在歯科技工士として活躍されている人は、普段あまり見ることがない自分とは違う環境で働く歯科技工士の仕事内容を知ることができたでしょう。また、当日は大阪大学歯学部歯科技工士学校の学生も参加しており、学生の皆さんにとっては、これからの自分たちの将来を選ぶための参考になったのではないでしょうか。

次回は、午後の部に行われた特別講演の模様をお伝えします。